フェアトレードコーヒーは、コーヒー生産者が適正な価格でコーヒー豆を販売し、持続可能な生計を維持できるように支援する取り組みのことです。
5月の第2土曜日は「世界フェアトレード・デー」と呼ばれ、世界中で一斉にフェアトレードに関するイベントが行われます。これに合わせて、日本でも毎年5月は「フェアトレード月間」と呼ばれています。
この記事ではフェアトレードの理念やフェアトレードコーヒーの商品、フェアトレード普及の意味などについて解説します。
フェアトレードが注目されている理由

フェアトレードは、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活の改善と自立を目指す「貿易のしくみ」をいい、直訳すると「公平・公正な貿易」となります。
美味しく高品質なものを作り続けるには、生産者の労働環境や生活水準が保証、自然環境への配慮など持続可能な取引のサイクルを作っていくことが重要です。
そこで開発途上国の農園や工場労働者が適正な報酬を得られるように、適正な価格で継続的に購入することで、彼らは生計を立てることができ、地域発展の貢献へつながります。
この取り組みは、特定の認証基準に基づいて環境保護や労働者の権利保護などを評価し、適正な取引が行われているかを確認することで消費者に信頼できる商品を提供できます。また、フェアトレード商品の購入は、適正な報酬が生産者に支払われることが保証されているため、消費者が地球環境や社会問題に貢献できる方法の一つとして考えられています。
フェアトレードコーヒーのメリット

フェアトレードコーヒーのメリットはたくさんあります。いつも飲んでいるコーヒーをフェアトレード認定品に変えるだけで、開発途上国の生産者をサポートすることに繋がります。
- 生産者が安定した収入を得ることへ貢献ができる
- 生産者の生活水準向上への貢献ができる
- 環境負荷の軽減が期待できる
- サステナビリティ(持続可能)な農業と貿易を促進することでSDGsに貢献できる
- エシカル(法律などの縛りがなくても、みんなが正しい、公平だ、と思っていること)な選択ができる
なぜフェアトレードコーヒー?存在と意義
フェアトレードコーヒーの需要は年々増加しています。私たち消費者の関心が高まっているといえ喜ばしいことです。
コーヒー豆は国際市場の影響で、利益がでないこともある

コーヒーの生産国のほとんどは開発途上国といわれる国です。しかし、コーヒー豆の買取価格は生産国とは遠く離れた国、ニューヨークとロンドンの国際市場で決められるため、激しい価格変動などがあります、それに対応できない開発途上国の農家の多くは中間業者を頼ることで時に利益が得られず、不安定な生活になってしまうのです。
フェアトレード製品は取引の最低価格が定められている

フェアトレードは、農家が組合を作り全員で生産能力を高める取り組みをしたり、国際市場と直接交渉する力を身につけ、組合組織を発展させていったりと、フェアトレードで得られる利益によって地域社会を発展させていくことができるようになります。
国際フェアトレード基準では「フェアトレード最低価格」が決められているので、国際市場価格がどんなに下落してもその「最低価格」は必ず支払われます。
コーヒー1杯で約0.6円の支援につながる

またフェアトレードは輸入業者から生産組合に、「フェアトレード・プレミアム」とよばれる奨励金が支払われます。だいたいコーヒー豆約450gごとに20USセントの奨励金になり、コーヒー1杯に換算すると約0.6円程度です。
たったの0.6円と思われるかもしれませんが、市場では10トン、100トンなど大きな単位で取引されるため、生産組合に支払われるプレミアムは40万、400万と大きな金額になります。
最低価格とプレミアム保証により、生産者は安定した生活をし、環境に無理な負荷を掛けることなく良質なものづくりに励むことができます。
フェアトレードコーヒー、もうひとつの魅力とは?
フェアトレード商品を選ぶことで間接的に「農家や生産者に貢献出来る仕組み」につながります。さまざまな魅力がありますが、大きくわけて3つの魅力があります。
・フェアトレードコーヒーを選ぶ=生産地域と労働者を支援する
・高い品質で持続可能な栽培方法や環境にも配慮
・コーヒーの美味しさと社会貢献の両立を実現できる
フェアトレードコーヒーは生産者の支援、地球環境への貢献につながるとご紹介してきましたが、実はコーヒーの品質にも優れており、配慮した農園で育てられた豆を使用しています。そのため、豊かな香りや酸味が楽しめるだけでなく、安心して飲むことができるのです。
フェアトレードコーヒーは、製品の安全と社会貢献が両立した美味しい魅力的な商品といえるでしょう。
思わず手に取りたくなる豊かな味わい
フェアトレードコーヒーは、品質に重点を置いて生産されているため、独特の豊かな味わいと香りが特徴です。また、世界中のさまざまな産地から選りすぐられた豆を使用しているため、多くのバリエーションがあります。そのため、好みや気分に合わせて様々なコーヒーを楽しむことができます。
また、有機栽培や自然栽培によるコーヒー豆も多く、農薬や化学肥料を極力使用しない方法で育てられた豆は、環境への負荷も少なく、自然な味わいが楽しめます。このように、フェアトレードコーヒーは、消費者が安心して購入でき、美味しく楽しめる選択肢の一つとなっています。
フェアトレードコーヒーのさまざまな種類
フェアトレードコーヒーは、さまざまな種類が存在し、それぞれに独自の味わいや特徴があります。
フェアトレードコーヒーは、世界中の生産地から選りすぐりの豆が使用され、品質と独特の風味が楽しめます。また、各社が独自のブレンドや焙煎方法を取り入れた商品が多く、コーヒー愛好家にも喜ばれることでしょう。
フェアトレード認証を取得した企業は、フェアトレードJAPAN公式サイトでもフェアトレード認定商品の一部を公開しています。もちろんフェアトレードJAPAN公式サイトに掲載されていなくとも、日本で販売してあるフェアトレードコーヒーはたくさんありますので、自分の好みにや生活圏に合わせて好きなものを購入することができますよ。
販売している会社が本当にフェアトレード認証・登録事業者かどうか不安な場合は、フェアトレードJAPAN公式サイトで確認ができます。
世界各国のコーヒー産地から厳選された豆

世界各国のコーヒー産地から厳選された豆品は、その土地独特の風味と品質が楽しめます。フェアトレードコーヒーももちろん、それぞれの生産地を代表とされる豆も生産されています。
例えば、ブラジルやメキシコ産のコーヒー豆は、繊細な酸味と苦味のバランスで、万人受けしやすいことから多くの人に愛されています。また、アフリカやアジアのコーヒー豆の多くは独特の風味があり、コーヒー好きから人気が高いです。
こうした世界各国のコーヒー産地から厳選された豆を使用した商品は、フェアトレードコーヒーであっても同じで取り扱っているコーヒーショップや通販サイトで手軽に購入できます。様々な豆を試しながら、自分好みを探していくのもまた楽しいですよ。
ドリップバッグやインスタント商品も充実
フェアトレードコーヒーでも、ドリップバッグやインスタントの商品ももちろんあります。ドリップバッグは、手軽に一杯分のコーヒーが淹れられるため、忙しい日々にも香り高いコーヒーが楽しめて便利です。また、インスタントコーヒーは、お湯や水を注ぐだけで簡単にコーヒーが楽しめるため、その手軽さと割安感が魅力です。
どちらの商品も、フェアトレード原料を使用したものが多く、味わいや品質にもこだわっています。手軽に楽しめる商品を選ぶ際にも、世界の農家を支援するフェアトレードコーヒーを選ぶことができます。
ハンドドリップで淹れるのが面倒な方はお気に入りのドリップバッグやインスタント商品を見つけて、環境や社会への配慮を楽しみながら、日々のコーヒータイムを過ごしましょう。
オーガニックとフェアトレードのダブル認証
またオーガニックとフェアトレードのダブル認証を取得しているコーヒー豆もあります。
オーガニック認証は、農薬や化学肥料を使用せず、自然な方法で栽培されたコーヒー豆を示しています。一方、フェアトレード認証は、途上国のコーヒー生産者に適正な価格が支払われ、持続可能な生活と地域の発展が支援されていることを意味します。
オーガニックとフェアトレードのダブル認証を取得しているコーヒー豆を選択することは、環境にも人にも優しい選択といえるでしょう。
信頼できるフェアトレードコーヒーの選び方
信頼できるフェアトレードコーヒーを選ぶ際には、認証基準の確認やブランドや企業の社会貢献活動に注目することが大切です。まずは、フェアトレード認証のラベルを確認し、その商品が国際的な基準に沿って生産・取引されているかどうかをチェックしましょう。
また、各社のウェブサイトやパッケージに記載された情報を参照し、その企業が持続可能な環境政策や労働者の待遇改善など、社会貢献活動を積極的に行っているかを判断基準にプラスするとさらなる社会貢献へつながるでしょう。
認証マークを確認しましょう

フェアトレードコーヒーを選ぶ際には、認証マークの確認が大切です。認証製品には必ずこの認証マークがついており、国際フェアトレード基準が守られている事を証明しています。
ブランドや企業の社会貢献活動に注目
信頼できるフェアトレードコーヒーを選ぶには、ブランドや企業の社会貢献活動にも注目してみてください。例えば、環境保護や労働者の待遇改善に取り組んでいる企業は、持続可能なコーヒー生産を実現する上でより信頼性が高いといえます。
また、フェアトレードに加えて、有機認証を取得しているコーヒー豆も、品質や環境面で優れていると評価されています。オーガニック・フェアトレード認証のダブル認証をもつコーヒー豆を選ぶことで、安心して美味しいコーヒーを楽しむことができます。
オンラインショップやカフェで購入可能
最近では多くのオンラインショップやカフェでフェアトレードコーヒーを購入することができるようになりました。日本国内でもフェアトレードコーヒーを取り扱うお店が増えており、身近な場所で購入することができるようになりました。
例えばイオンやミニストップ、コープなどのコーヒーショップではない企業からも最近ではフェアトレードコーヒーが販売されています。
自宅でフェアトレードコーヒーを楽しむ方法
自宅でフェアトレードコーヒーを楽しむ方法にはいくつかあります。
ドリップコーヒーやフレンチプレス、エスプレッソなど、好みの抽出方法で淹れることができます。
また自分のお気に入りや好みの豆を選んだり、その日の気分で変えることもできます。
淹れ方や飲み方はフェアトレードではないコーヒーと同じなので、自分にあった方法でフェアトレードコーヒーを楽しみましょう。
無料サンプルや定期購入でリーズナブルに試す

フェアトレードコーヒーは多くの通販サイトや専門ショップで販売されていますが、まだ購入に不安があるという方は無料サンプルで試してみてはいかがでしょう?多くはないですが無料サンプルを提供している店舗もあります。
また、定期購入を導入している店舗であれば定期購入の利用もおすすめです。定期的に新しいコーヒー豆が届くのが便利ですし、なにより大抵の店舗は単品購入よりもお得に購入できるよう割引価格が設定してあります。お気に入りのコーヒーが見つかったら定期購入の利用もおすすめですね。
通販サイトは手軽、専門ショップは親身、で便利

通販サイトも専門ショップもコーヒー豆の購入には結局どちらも便利です。重視するポイントが自分は何なのか、それに合わせて購入先も選びましょう。
通販サイトでは、商品の一覧や価格、評価などが比較検討しやすく、わざわざ店舗に出向くこと無く自宅から簡単に購入できる点がとても便利です。
専門ショップは、店舗での試飲ができたり、スタッフへ直接好みの相談などもできたりと、より正確に自分の好みに合ったコーヒーを見つけやすいでしょう。さらに、専門のスタッフが豆の選び方や淹れ方のアドバイスをしてくれたり、少量ずつの販売をしてくれることもあります。
通販サイトが便利か、店舗型専門ショップが便利なのか、自分に合わせて購入しましょう。
フェアトレードコーヒーと大手コーヒーチェーンの取組み
大手コーヒーチェーン店でのフェアトレードへの取り組みをみていきます。
KALDI(カルディ)とフェアトレードコーヒー

カルディは、全国に約470店舗以上ありフェアトレードコーヒーを販売しています。
カルディでは『地球にいいことしてる?』をスローガンにし、カルディコーヒーファームの店舗スタッフから仕入れスタッフ、運営スタッフまで、自分たちができることは何かを考え、取り組んでいるそうです。
フェアトレードの取り組みに賛同し、消費者の関心も高まっていることもあった経緯からフェアトレード認証製品の取り扱いを始めました。
フェアトレードコーヒーにコミットし、消費者に公正な取引と高品質のコーヒーを提供しています。カルディのフェアトレードコーヒーは、フレッシュで風味豊かな特徴があり、多くのコーヒー愛好家に支持されています。
過去には「フェアトレードコーヒーキャンペーン」も展開
2012/10/3~10/31まで「ウーマンズハンド・フェアトレードブレンド」というフェアトレードコーヒーを10%オフで販売するキャンペーンも実施しており、キャンペーン前の5倍売り上げるなど、積極的にフェアトレードに取り組んでいるといえるでしょう。
カルディコーヒーファームでは基本的には下記4つが販売されています。
フェアトレードコーヒー商品()
・ウーマンズハンド フェアトレードブレンド
・フェアトレード コスタリカ
・ウーマンズハンド フェアトレード グアテマラ
・フェアトレード ブラジル ダークロースト
タイミングによっては販売停止中の商品もあるみたいなので注意してください。
フェアトレードコーヒーはオンラインショッピングでも購入可能
現在販売されているのは、「【焙煎珈琲】ウーマンズハンド フェアトレードブレンド/200g」で価格は999円です。4件のレビューすべてが★5つの高評価なので、ご自宅で試してみるにはとてもいい商品といえるのではないでしょうか。
挽き方も豆やフィルター用、エスプレッソ用など自分の用途に合わせられるので、おすすめです。
スターバックスとフェアトレードコーヒー

スターバックスでは現在日本に1,885店舗があり、すべての都道府県で利用することができます。コーヒーをメインとした様々なドリンクやフードが楽しめ、老若男女から人気です。
毎月20日はフェアトレード製品を提供していたが…
スターバックスでは毎月20日に「エシカルな日」として「フェアトレード イタリアン ロースト」をアイスコーヒーで提供していましたが、現在はその商品自体がありません。
というのも、2023/05/11付けの「コーヒー豆のパッケージデザイン変更」についての公式プレスリリース内で下記の記述があります。
今回の切り替えに伴い、国際フェアトレード認証マークの入った「フェアトレード イタリアン ロースト」は、「イタリアン ロースト」へ名称を変更します。
名称から「フェアトレード」がなくなっているだけでなく、パッケージ変更前にはあったフェアトレード認証マークさえ消えています。プレスリリース内文末で”スターバックスは、これからも高品質なコーヒーを届け続けるため、そして、生産者コミュニティにポジティブな影響を与えるため取り組んでいきます。”とありますが、正直その基準や方法などは公開されておらず不明です。
エシカルな調達100%を目指した取り組みを続けている
スターバックス曰く、スターバックスは世界のコーヒー豆のうち5%を購入しており、30カ国40万人以上の生産者と関わっています。生産者とその家族の未来は、スターバックスの未来と強く結びついていると考え、「Coffee and Farmer Equity (C.A.F.E)プラクティス」という独自の認証プラグラムに取り組むことで、エシカルな調達100%を目指しています。
参考)スターバックス公式サイト/C.A.F.E.プラクティス
日本で最も販売量が多いフェアトレード認証製品はコーヒー

大手コーヒーチェーン店やスーパーなどの小売店、地域のコーヒーショップなど様々な店舗で取り扱いのあるフェアトレードコーヒー。実は日本で最も販売量が多いフェアトレード認証製品はコーヒーです。
毎日飲むコーヒー、たまに飲むコーヒー、あなたのその一杯のコーヒーをフェアトレードコーヒーに変えるだけでも「コーヒーの未来を創る」ことへつながります。