コーヒーは、豆の挽き方が味や香りに大きく影響します。自宅で美味しいコーヒーをさらに楽しむなら、自分でコーヒー豆を挽いてみることからはじめてみるのがおすすめです。
難しそうに感じるかもしれませんが、道具さえ揃えれば意外と簡単だったりします。まずは基本知識、コーヒー豆の挽き具合(挽き目)、コーヒーミルの選び方などについて知っていきましょう。
これからコーヒー豆挽きの世界に足を踏み入れる人も、もっと深く知りたい人も、きっと盛りだくさんの情報が見つかるはずです。自宅でのコーヒータイムのパフォーマンスアップに、外出先でのコーヒータイムをより楽しく!さあ、自分だけのコーヒーを楽しむ方法をマスターしましょう!
コーヒー豆の挽き方の基本知識
まずは挽き方や挽き具合の基本知識を身につければ、飲みたいコーヒー、やりたい抽出方法も合わせた挽き具合を知ることで、自分好みのコーヒー豆の挽きをみつけてみましょう。
なぜコーヒー豆を挽く必要があるのか?

コーヒー豆は焙煎したコーヒー豆を湯や水につけておけば、じわ~っとコーヒーを抽出することは可能ですが非常に時間が借ります。また水分と接する表面積も少ないので、しっかりと成分が抽出できず味もぼやけてしまうでしょう。
そこでコーヒー豆を粉状に挽くことでお湯とコーヒー豆の接する表面積が増えます。そうすると味や香りが豊かになり、より効率的に成分を抽出ができるようになります。
挽いたコーヒー豆は酸化しやすく、劣化しやすい
しかしここで注意しておきたいのが挽いた状態のコーヒー豆は、どんどんと酸化し味や香りも劣化していくという点です。挽いたコーヒー豆は粉状になることで表面積が増え、空気(酸素)との接触面も増えます。そのためコーヒー豆を挽いた瞬間から酸化が進み、どんどん劣化していくのです。
劣化が進んでしまったコーヒーは味や香りや風味なども落ちていき、本来の美味しさは楽しめません。
挽いたコーヒー豆の最適な保存期間は1週間程度
コーヒー豆は適切に保存するのも当たり前に重要なんですが、保存期間も重要です。焙煎した豆の状態であれば、適切な保存方法で約1ヶ月程度は美味しく飲めるとされていますが、挽いた状態では約1週間が保存期間になります。想像していたより短いですよね。

そこで注意すべきなのが、コーヒー豆を買う頻度と量です。一度に数ヶ月分を買ってしまうと、そのほとんどが本来の美味しさは楽しめません。
焙煎した豆を購入するときは1ヶ月程度で消費できる量にすることが重要です。また挽く頻度も一度にまとめてではなく、週に1回1週間分をまとめて挽くか、できればその都度コーヒー豆を挽くのがおすすめです。
コーヒー豆は湿気・紫外線・温度変化に弱い
コーヒー豆の保存期間は、適切に保存方法をすることが大前提です。保存方法を間違えるとそれだけで劣化していきますので注意しましょう。
コーヒー豆の適切な保存方法
コーヒー豆をいい状態で保存するポイントは、コーヒー豆をいれる容器とそれを置く場所です。

湿度の低い場所がいい
湿度の高い場所だと酸化がより進みやすくなり劣化につながるので、湿度の低い場所で保管しましょう。
常温保存(温度差が少ない)がいい
コーヒー豆は高温や低温などの温度変化も劣化の原因といわれています。よくコーヒー豆は冷凍保存がいいといわれていますが、それは間違いです。冷凍保存をすると、庫内から取り出した時に、部屋との温度差で結露してしまい、湿気で劣化します。
冬であれば室内、夏であれば空調を効かせた部屋がベストですね。
密閉できる容器がいい
コーヒー豆をそのまま置いておくと湿気にさらされてしまいます。容器自体も密閉できるものを選び、湿気らないようにしましょう。
光を遮断できる容器がいい
コーヒー豆は紫外線に弱いです。それは太陽の光だけでなく、蛍光灯の光にも弱いです。そのため、コーヒー豆から光を遮断できるようなアルミパックの袋や陶器・ホーロー・木製の容器で保存したり、それが難しいのであればせめて暗い場所に保管しましょう。
挽き具合(挽き目)の種類と特徴、おすすめの抽出方法

コーヒー豆の挽き具合(挽き目)は大きく分けて3種類ですが、詳しく分けると「極細挽き・細挽き・中細挽き・中挽き・粗挽き」の5種類になります。
挽き具合 (挽き目) | 粒度 | 味わいの特徴 | おすすめの 抽出方法 |
極細挽き (ごくぼそびき) | 0.5mm以下 粉糖のような細かいパウダー状 | 苦味が強い | エスプレッソ |
細挽き (ほそびき) | 0.5~0.8mm 上白糖とグラニュー糖の中間程度 | 濃いめ | コールドブリューコーヒー (水出しコーヒー) |
中細挽き (ちゅうぼそびき) | 0.5~1.0mm グラニュー糖ぐらいの細かさ | 一般的 万人受け | ハンドドリップコーヒー ドリップ式コーヒーメーカー |
中挽き (ちゅうびき) | 1.0~1.5mm ザラメ糖とグラニュー糖の中間程度 | 苦味より 少し酸味があり スッキリめ | サイフォン ネルドリップ フレンチプレス |
粗挽き (あらびき) | 1.0~2.0mm ザラメ糖くらい大きめの粒 | 苦味が少なく 酸味が強い | パーコレーター |
自宅でコーヒー豆を挽くための道具と方法
自宅でコーヒー豆を挽くには、まずコーヒーミル(コーヒーグラインダー)を用意しましょう。コーヒーミルには手動と電動の2種類があります。
電動ミルと手動ミルの違い

コーヒー豆を挽く際に、電動ミルと手動ミルがありますが、それぞれどんな違いがあるのでしょうか?また、どちらがおすすめなのでしょうか?
最初の1台なら、安価で手軽な電動コーヒーミルがおすすめ
電動ミルはなにより操作が簡単です。豆を入れてスイッチを入れるだけで挽き具合にムラがなく短時間で挽くことができます。
一方、手動ミルは自分でハンドルを回して豆を挽くので時間と手間がかかります。その代わりに電源がいらないのでキャンプなどのアウトドアではその場で挽くことができるのがメリットととしてよく紹介されていますが、電動ミルでもUSB充電タイプなどもあるので、何をとっても手間をかけず短時間で豆を挽ける電動ミルのほうがおすすめです。

ただコーヒー豆を挽く時間すらもコーヒータイムとしてゆったり楽しめる、楽しみたいという方には手動ミルがおすすめですね。
(グラインダー) | 電動ミル手動ミル | |
操作の手軽さ | 電源さえあれば スイッチ押すだけ | 電源は不要だが、 ゴリゴリ手動でする必要がある |
挽きの正確さ | 種類によっては挽き具合が固定のものも あるが、調整可能なものが多い | 挽き具合の調整はできるが 設定には説明書等をみないと難しい |
挽きの動作音 | 物によってはかなり音が大きかったり 振動がすごいものもある | 手動でゆっくり回すため静か |
お手入れ | 種類によっては部品が多い | 木製のものは水洗いできない |
価格帯 | 2000円~30万円程度 | 500円~20万程度 |
味への影響 | 機械の熱により劣化が進むことがある | 熱の影響による劣化はない |
コーヒーミルの選び方
コーヒーミルを選ぶポイントは、使いやすさと予算です。あとはデザイン・挽きの正確性・挽き具合(挽き目)の調整など自分のこだわりに合わせて選ぶのがおすすめです。
手動ミルは何より時間がかかるので、手間を省きたいなら電動コーヒーミル一択です。基本的に手動でも電動でも挽くこと自体はできるので、「お家でのコーヒータイムを挽くことからはじめてみよう」なんて方はまずは安価な電動ミルからはじめてみるのがおすすめです。
それが続けれるようになり他にこだわりたいポイントがわかってきたときに、手動コーヒーミルにかえたり、機能性も価格も高い電動コーヒーミルに変えたりしてみれば良いと思います。
電動ミルにも挽き方によって「プロペラ式・臼式・コニカル式」と3種類のタイプがあり、機能性が高いものはその分高価になりがちです。ただこの名称はネット上でもサイトや記事によって微妙に異なっていたりするので要注意です。
プロペラ式 | 臼式 | コニカル式 | |
別の名称 | ミキサー式、ブレード式、 ブレードカッター等 | コーンミル、 フラットカット式等 | コーン式、円すい式、 ディスクミル等 |
特徴 | プロペラ状の刃を 高速回転させて挽く 挽き時間で挽き具合を調整する | 臼で挽くように コーヒー豆をすりつぶして挽く | 円錐形の刃を回転させて挽く エスプレッソ対応もある |
粒度の正確性 | ムラが多く均一ではない | 均一 | 均一 |
美味しさ | |||
摩擦熱 | 高速回転による 摩擦熱の影響をうける | 家庭用は摩擦熱が 起きやすい | 低速回転なので 摩擦熱は起きにくい |
価格帯 | 安価でお手頃 5千円以内のものが多い | そこそこ 一万円前後のものも多い | 高価 2万円程度~ |
サイズ感 | 手のひらサイズ | 手のひらサイズ~据え置き | 据え置き、大きい |
お手入れ | 簡単 | 特に部品が多い | 部品が多いが、臼式よりはマシ |
3つを比較するとこのような感じになりますが、プロペラ式でもコーヒーミルで挽きたてのコーヒーは美味しいです。そこからさらにもっと美味しさを追求したい!もっと!というようになったときに、臼式やコニカル式などに新調していくとしても、いいと思います。
デザインもシンプルなものやレトロなもの、シックなもの、メカニカルなものなど様々なものがありますよ。
コーヒーミルを使う時のポイントと注意点
どんなに高性能な電動コーヒーミルを使用していても、安価な手動ミルを使用していたとしても共通していえるコーヒーミルを使うときのポイントと注意点があります
コーヒーミルは清潔にする
できれば使用するたびにお手入れをしましょう。水洗いできるものは水洗いをし、専用ブラシできれいにしたり。コーヒーを挽くとどうしても出てしまうカス。残ったコーヒー豆のカスは酸化し、次回挽く際に混ざってしまうので、味のクオリティーが下がります。

刃のお手入れをする

包丁と同じで、コーヒーミルの刃も使えば使うほど劣化していきます。また、その都度お手入れした刃と、使用後にそのままにしておいた刃では切れ味にも差がつくのも当然です。普段から使用後にはきれいにお手入れシてあげましょう。
また金属製の刃、セラミック製の刃があるので刃の種類にこだわってみるのもいいかもしれませんね。
手動コーヒーミルメーカーのおすすめ一覧
手挽きコーヒーミルを提供しているメーカーはたくさんありますが、その中でもお手軽でオーソドックスなものからおすすめの商品を紹介していきます。
Hario(ハリオ)|コーヒーミル・セラミックスリム

画像出典:コーヒーミル・セラミックスリム|コーヒー関連|耐熱ガラスのHARIO(ハリオ)
言わずと知れたHarioは手動式コーヒーミル、電動式コーヒーミルともに様々な製品を取り扱っています。コーヒー製品だけでなく、食器や調理器具、理化学用品等も製造しているメーカーです。
手動コーヒーミルを試してみたい方にオススメなのが「コーヒーミル・セラミックスリム」です。デザインはシンプルで使いやすく、水洗いもできるのでオススメです。他にもシンプルでおしゃれなデザインなコーヒーミルを取り扱っており、インテリアの邪魔にもならず、価格もお手頃なものからあるので特にこだわりがない方へHarioはオススメです。
Kalita(カリタ)|ドームミル

画像出典:ドームミル | コーヒー機器総合メーカーカリタ【Kalita】
こちらも言わずと知れたコーヒー製品メーカーのカリタ。コーヒーグッズに興味がある方ならカリタはご存知だと思います。どこのホームセンターにもハンドドリップのカフェドリッパーが売られています。
クラシックな手動ミルを試してみたいならカリタの「ドームミル」が定番です。お値段はそこそこしますが、何よりこのクラシック感がたまらないデザイン!コーヒー豆を挽く時間も楽しみたい方にはカリタ「ドームミル」がおすすめです。
Porlex(ポーレックス)|ポーレックス コーヒーミル・Ⅱ

画像出典:ポーレックス コーヒーミル | JAPAN PORLEX ジャパンポーレックス
開発から生産までを国内で行っているセラミック製品の日本企業です。
細かい粒度調整もでき挽き心地もなめらかな「ポーレックス コーヒーミル・Ⅱ」は、令和2年度九州地方発明表彰で文部科学大臣賞特別賞を受賞しています。特に細挽きが得意で丸ごと水洗いOKで分解も楽な製品です。日本製が好きな方は「ポーレックス コーヒーミル・Ⅱ」一択ですね。
電動コーヒーミルメーカーのおすすめ一覧
力がいらず手軽にコーヒー豆を挽きたい方や、一度に大量に挽きたい方は電動コーヒーミルが断然オススメです。電動コーヒーミル(グラインダー)もたくさんの種類がありますが、おすすめをピックアップしていきます。
山善(ヤマゼン)| 電動コーヒーミル YCMB-150

山善は様々な電化製品・生活雑貨・インテリア用品・防災グッズまで幅広い商品展開をしている企業で、安く使い勝手の良い製品を販売しているイメージです。SNSでもよく紹介されていますね。
そんな山善の電動コーヒーミルは、クオリティはひとまず置いておいてとにかく安く手軽に挽きたてのコーヒー楽しんでみたいビギナーにオススメの製品です。とりあえず使ってみたい、豆をもらったけどどうしようなんて方にもオススメですね。お値段がとにかく安いのが特徴で、挽きの粗さやお手入れのしづらさは否めません。
HARIO(ハリオ) |スマートG電動ハンディーコーヒーグラインダー

画像出典:スマートG電動ハンディーコーヒーグラインダー|コーヒー関連|耐熱ガラスのHARIO(ハリオ)
言わずと知れたHarioは手動式コーヒーミル、電動式コーヒーミルともに様々な製品を取り扱っています。コーヒー製品だけでなく、食器や調理器具、理化学用品等も製造しているメーカーです。
こちらはUSBで簡単充電ができ、持ち運びしやすいコンパクトなサイズの「スマートG電動ハンディーコーヒーグラインダー」。旅行先のホテルでもキャンプでも、会社の休憩時間でも利用できるのでお家だけでなく外出先でも挽きたてのコーヒーが楽しみたい方にオススメでとても便利です。また手挽きも可能なので、手動も電動もどちらも使ってみたいなんて方にもオススメです。
DeLonghi(デロンギ)|コーン式コーヒーグラインダーKG366J

画像出典:デロンギ コーン式コーヒーグラインダー | KG366J
デロンギといえばオイルヒーターのイメージですが、コーヒー製品も数多く取り揃えています。
「コーン式コーヒーグラインダーKG366J」は、豆本来の美味しさをより手軽に楽しみたい方にオススメの本格派コーヒーグラインダーです。粒度の均一性が高く、低速回転のため摩擦熱が少ないのも特徴です。価格も一万円程度なのでコストパフォーマンスにも優れています。
Baratza(バラッツア)|Sette270(セッテ270)

画像出典:Sette270 – baratza
Baratzaはシアトル製の電動コーヒーミルのプレミアムブランドです。
粒度は270段階から選べ、挽く時間も0.1秒単位で設定可能な電動コーヒーミル「Sette270(セッテ270)」。自宅でドリップコーヒーだけでなくエスプレッソコーヒーまで挽くことができる高機能モデルです。お値段は張りますが、自宅でエスプレッソを楽しみたいならBaratzaがおすすめです。
電動コーヒーミルの使い方
一般的な電動コーヒーミルの使い方を説明します。
コーヒー豆の量を測る
必要な豆の量を測ります。コーヒー1杯につき約15〜20gのコーヒー豆を使用するのが一般的です。
挽き具合を選ぶ
臼式、コニカル式には挽き具合(挽き目)を調整できる設定があるので選びます。ホットコーヒーなら中細挽きか中挽き、水出しアイスコーヒーなら細挽きですね。
コーヒー豆を挽く
電動コーヒーミルのボタンを押します。
挽いたコーヒー豆を取り出す
ミルから挽いたコーヒーを取り出します。コーヒーミル内にコーヒー粉が残らないようにきれいに取り出しましょう。できれば水洗いやブラシがけなどを毎回しましょう。
すぐにドリップ等する
挽いた豆はその瞬間から酸化するのでできればすぐにドリップなどして飲みましょう。
これらのステップを実行することで、自宅で新鮮なコーヒーを楽しむことができます。挽いたコーヒー豆の挽き具合や量を調整して、自分の好みに合ったコーヒーを作ってみてください。
人気メーカーとしては、HARIO(ハリオ)やカリタ、ポリシーなどがあります。それぞれのメーカーには特徴がありますので、自分の好みに合わせて選びましょう。
まとめ:自分好みのコーヒー豆の挽き具合(挽き目)を見つけよう
いかがでしたでしょうか。豆の状態や挽く直前の保存方法、挽く時の注意点とコツ、そして挽き方で変わる味のバランスを押さえることで、あなた好みのコーヒーを楽しむことができます。
挽き方や道具の選び方に慣れることで、どんな豆でも美味しく淹れられるようになります。ぜひ、今まで以上にコーヒーにこだわってみてください。そして、おいしいコーヒーを挽く喜びを感じてみましょう。おいしいコーヒーが待っていますよ!